ヨガを指導していると、呼吸が浅いなと感じる生徒さんがいます

本人が

「私、呼吸が浅いんです」

と自覚していることもあれば、動いている様子を見ていて私が気づくこともあります

特にわかりやすいのが、筋肉をしっかり使う少し大変なアーサナをしているときです

頑張ろうとするあまり、肩に力が入り、顔がしかめっ面になる

身体全体がガチッと固まって、呼吸も浅くなる

そんなとき、私は

「はぁ〜〜〜😮‍💨」

「はいて〜〜〜」

と、ゆっくり声をかけることがあります

すると、顔がほどよく緩み、身体の動きまでなめらかになることがあります

私自身も、緊張していたり、身体に力が入っていたりするとき、ゆっくり息を吐くと少しずつ身体が緩んでいくのを感じます

でも、どうして息を吐くだけで身体は落ち着きやすくなるのでしょうか

心臓は、呼吸に合わせて速さを変えている

心臓は、時計のようにずっと同じ間隔で拍動しているわけではありません

実は呼吸に合わせても、心拍数はわずかに変化しています

一般的には、息を吸うと心拍数が上がり、吐くと心拍数が下がります

これを「呼吸性洞性不整脈」といいます

「不整脈」とついていますが、ここでいうものは健康な人にもみられる生理的な変化です

この変化には、自律神経の一つである迷走神経が大きく関係しています

吸うときには心臓への迷走神経の働きが抑えられ、心拍が速くなる方向へ

吐くときにはその働きが戻り、心拍はゆっくりする方向へ向かいます

つまり

「吸う」

「吐く」

という一回の呼吸の中でも、心臓のリズムは少しずつ変化しているのです

「吐くと副交感神経が優位になる」だけではない

呼吸法について調べると、

「息を吐くと副交感神経が優位になるのでリラックスします」

という説明をよく見かけます

大きな方向としてはわかりやすいのですが、実際の身体はもう少し複雑です

呼吸によって変化するのは、心拍だけではありません

胸の中の圧力や血液の流れも変化します

さらに身体には、血圧の変化を感知して調節する「バロレフレックス(圧受容体反射)」という仕組みもあります

呼吸、心拍、血圧、自律神経

それぞれが独立して働いているのではなく、お互いに影響し合いながら身体の状態を調節しています

ゆっくりした呼吸では、こうした呼吸と循環のリズムが連動しやすくなることが研究されています

だから私は、

「吐く=副交感神経」

というスイッチが単純にオンになるというより、

呼吸をゆっくりすることで、身体にもともと備わっている調節の仕組みが働きやすくなる

と捉えるほうが近いと思っています

吐く息は、長ければ長いほどいい?

では、

「吸う息より、吐く息をできるだけ長くすればいい」

のでしょうか

実は、ここもそれほど単純ではありません

ゆっくりした呼吸そのものについては、心拍変動や自律神経、バロレフレックスとの関係が研究されています

一方で、「吸う時間と吐く時間を同じにする呼吸」と「吐く時間を長くする呼吸」を比較した研究では、吐く時間を長くすれば必ず心拍変動が大きくなる、とは確認されていません

だから私もレッスンでは、

「4秒吸って、8秒吐いて」

というように、いつも吐く時間を長く設定しているわけではありません

それよりも

「はぁ〜〜〜😮‍💨」

と、まず吐くことに意識を向けてもらいます

頑張って長く吐こうとする必要もありません

呼吸まで「頑張るもの」にしてしまったら、かえって身体に力が入ってしまうこともあるからです

筋肉を使うことと、力むことは違う

私は、筋肉を使うことと、全身をガチガチに力ませることは違うと思っています

たとえば脚の筋肉をしっかり使いたいアーサナなのに

肩まで上がっている

眉間に皺が寄っている

口を真一文字にしている

呼吸まで止まりそうになっている

それなら、必要以上の力まで使っているかもしれません

もちろん、難しいアーサナでは頑張ることもあります

必要な筋肉は、しっかり働かせたい

でも、必要のないところまで一緒に固めなくてもいい

そこで

「はいて〜〜〜」

と声をかける

ふぅ〜っと息を吐いた瞬間に、顔が緩む

肩の力が少し抜ける

それまでガチッとしていた動きが、少しなめらかになる

私はレッスンの中で、そんな変化を何度も見ています

頑張るときほど、呼吸を忘れない

私自身も、緊張したり力んだりしていることに気づいたときは、ゆっくり息を吐きます

それだけですべての緊張がなくなるわけではありません

でも

「はぁ〜〜〜😮‍💨」

と吐いているうちに、少しずつ身体が緩んでいくことがあります

呼吸は普段、意識しなくても身体が勝手に続けてくれています

でも、自分で意識して変えることもできます

そこが呼吸の面白いところだと私は思います

頑張らなければならないときほど、身体はつい力みやすくなる

だからこそ私は、そんなときに呼吸を思い出してほしいと思っています

必要なところは、しっかり働かせる

いらない力は、手放していく

その切り替えを助けてくれるものの一つが

「はぁ〜〜〜😮‍💨」

と吐く、いつもの呼吸なのです

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